不細工でもかわいい「ブサかわ犬」として親しまれ、2カ月前に天国に旅立った秋田犬「わさお」を追悼する「わさおを偲(しの)ぶ会」が9日、わさおが暮らした青森県鰺ケ沢町で開かれた。町長らが出席して追悼の言葉を述べ、各地から集まったファンが次々に花を捧げた。
町や地元の観光協会でつくる「わさおありがとう実行委員会」の主催。会場となった総合文化施設「日本海拠点館あじがさわ」には約100人が集まった。映画「わさお」に登場した「わさおねぷた」がわさおの遺影とともに飾られ、献花コーナーは子どもからお年寄りまでたくさんのファンが捧げた花で埋まった。
わさおは町の特別観光大使を務めるなど、地元に元気をもたらした存在だった。平田衛町長が「活躍は多くの人の胸に刻まれ、語り継がれる。長い間、町のためにありがとう」と追悼の言葉を述べ、顕彰状と「名誉犬章」を贈った。
実行委員会の委員長を務めた町観光協会の杉沢廉晴(やすはる)会長は「感謝の気持ちを込めてモニュメントを作製したい」と述べ、来春にもわさおの功績を顕彰する記念像などを町内に設置する考えを明らかにした。
長年わさおの飼い主だった故菊谷節子さんの長男、菊谷忠光さん(56)は「母とわさおは人間の親子同然だった。実の子よりわさおの方が優遇された」と語り、「わさおはみなさんを元気に、幸せにするためにいた。どうか忘れないでほしい」と呼びかけた。
会場には、子役時代に映画「わさお」に出演した俳優の伊澤柾樹さんも姿を見せた。「シーンに合わせて豊かな表情を見せてくれるわさおに、役そのものになって演じることを教わった。ありがとうと言いたい」と悼んだ。(林義則)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル